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-19-第3章海域ごとの生物相と干潟の現状・過去との比較北海道から沖縄までの10地域を,31海域に区分し,各地域の調査責任者を中心に,それぞれの海域の生物相と干潟の現状について述べる.また,過去のデータがある海域(もしくは個別の干潟)については,現状と過去の比較も行った.海域の区分と執筆者は以下の通りである.北海道地域北海道:向井宏東北地域青森県沿岸域:鈴木孝男三陸沿岸域:松政正俊仙台湾:鈴木孝男関東地域東京湾:風呂田利夫房総半島太平洋岸:風呂田利夫三浦半島・相模湾:風呂田利夫小笠原地方小笠原諸島:飯島明子日本海沿岸域日本海北部(十三湖):鈴木孝男日本海中部(能登半島七尾湾):風呂田利夫日本海西部(油谷・中海・宍道湖):伊谷行中部東海地域浜名湖(いかり瀬干潟):西川輝昭・木村妙子伊勢湾・三河湾:木村妙子・西川輝昭英虞湾・五ヶ所湾:木村妙子・西川輝昭近畿地域和歌山県沿岸域:古賀庸憲大阪湾:和田恵次播磨灘沿岸域:和田恵次中国四国地域四国沿岸域:和田恵次瀬戸内海中央部:伊谷行瀬戸内海島嶼部:伊谷行周防灘(中国地方西部):伊谷行九州地域九州北東部(瀬戸内海西部・豊後水道沿岸):逸見泰久・佐藤正典九州北西部(玄界灘):逸見泰久九州南西部(東シナ海沿岸):佐藤正典九州南東部(太平洋沿岸):佐藤正典有明海:佐藤正典八代海:逸見泰久鹿児島湾(錦江湾):佐藤正典奄美諸島:逸見泰久沖縄地域沖縄島:佐藤正典先島諸島:鈴木孝男・木村妙子・佐藤正典-20-なお,以下の本文中において「希少な~の1種*」「~科の希少魚*」等と表記されている種は,同定はされているものの,乱獲を防ぐために具体的な種名を伏せた種である.-21-北海道向井宏調査地点は,合計18箇所で,日本海側2カ所,オホーツク海側8箇所,太平洋側東部8箇所である.その干潟は以下の通り.日本海側:天塩川(河口域),サロベツ原野湖沼群(パンケ沼)オホーツク海側:猿払原野湖沼群(ポロ沼),クッチャロ湖,コムケ湖,シブノツナイ湖,サロマ湖,能取湖,網走湖,濤沸湖太平洋側東部:野付湾・尾岱沼,厚岸湖,厚岸湾,根室湾,琵琶瀬湾,風蓮湖,火散布・藻散布,温根沼北海道の干潟は,日本海側が干満の差が少ないために干潟が発達しないこともあり,ほとんどの干潟が道東のオホーツク海側かもしくは太平洋側に限られており,その形態も海潟湖がその大部分を占める.日本海側の2カ所の干潟は,どちらも面積が100㎡を超えない程度のきわめて小規模の干潟であり,河口の砂州と湿原の中の沼に形成されている.一方,道東の海潟湖に形成されている干潟は広大であり,比較的多様性の高い生物相を持っている.風蓮湖の干潟は実に数10㎞2にもおよぶ(海と渚環境美化推進機構・北海道立釧路水産試験場,2003).しかし,海潟湖以外の河口干潟や湿原の中の沼などに形成される干潟は規模が小さい.オホーツク海側の干潟のうちでも海潟湖以外での干潟の面積は小さい.太平洋側でも同じで,海潟湖以外の干潟は根室湾干潟を除いて規模は小さい.北海道の干潟は,周囲を湿原やアシ原で囲まれている場合が多く,人工のコンクリート護岸で固められたり,埋め立てによって人工海岸化されている場所はきわめて限られている.そのため,自然度が高く,とくに後背地の植生が健全に残っている場合が多い.そのために,塩性植物の生育する感潮域saltmarshや,砂浜植物が潮間帯の干潟とともに残っていることが多く,全国的に見ても貴重な干潟が多い.とくに,アッケシソウ,ウミミドリ,シバナ,コウボウムギ,エゾツルキンバイ,キタヨシ(ヨシ)などの塩性植物が多くの干潟で見られる.一方,一部の干潟海域ではアサリなどの水産資源の養殖場として利用されているところがあり,調査期間中にも一部で自然の干潟域がアサリの養殖場に改変されるなど,干潟の自然環境が開発の影響を受けているところが見受けられる.北海道の干潟の生物相の特徴として,比較的多様性が低いことがあげられる.飯村(2004)の指摘にもあるように,一般に日本の干潟の生物相の多様性は北に行くほど低下する傾向がある.その-22-ため北海道の干潟の生物相は一見しても単純であると言える.しかし,その中でも多様性の比較的高い道東の海潟湖干潟と,さらに多様性の低い日本海側などの小規模干潟がある.北海道の干潟には多くの場所で自然度の高い環境が残されており,とくに後背地の植生がよく保存されている.そのために,そのような感潮域植生saltmarshに棲息する特徴的な生物が見られる.カワザンショウガイ類がそれである.カワザンショウガイ類は,比較的小規模の分布をしているものと,広範囲に分布するものが知られているが,北海道の干潟には,小規模の分布種が多い.このことは,干潟がそれぞれ固有のカワザンショウガイ類を持っていることを意味する場合もある.たとえば,道東の厚岸湖には,アッケシカワザンショウ(未記載種)一種が多数棲息しており,野付湾には別種のカワザンショウガイ類(未記載種)が見つかっている.オホーツク海側では,テシオカワザンショウが広範囲に分布する.一方,本州以南の干潟では多産するスナガニ科やムツハアリアケガニ科のカニ類は北海道の干潟では,ほとんど見られない.唯一,アリアケモドキが日本海側の干潟で見つかったのみであり,道東にはまったく見られない.一般にカニ類は北海道の干潟に少なく,クリガニの幼体が見られる程度である.北海道の干潟に多産するのは,ホソウミニナである.ウミニナはまったく見つかっていない.しかし,ホソウミニナは海潟湖など比較的遮蔽された干潟にみられ,根室湾干潟のように開放的な前浜干潟では隣の風蓮湖などには多産するにもかかわらず,非常に少ない.また,コアマモが生育する干潟が多い.アマモも干潟の低地から沖側に生育するところが多く,厚岸湾では,オオアマモが生育しており,特徴的な植生である.これら干潟上の海草藻場の存在は,干潟の生物多様性を高める意味においてきわめて重要な役割を持っている.北海道の干潟が大きく日本海側と道東に区別されるのは,干潟の成因が違うことに限らない.その生物相が異なるもっとも大きい原因は,暖流の影響があるかどうかによる.日本海側とオホーツク海側北部の沿岸は,夏期に暖流である対馬海流の影響を受ける.一方,道東の干潟はほとんど寒流である親潮(千島海流)のみの影響を受ける.道東の干潟では,キタノオオノガイ,アオモリムシロ,キタユムシ,イソタマシキゴカイ,ウバガイなど,寒流系の動物が顕著である.これらの寒流系種の多くが北海道以外の干潟ではほとんど見られないことに注意すべきである.さらに,道東では気候が寒冷なために潮間帯の生物相に影響がある.また,流氷による潮間帯生物への影響も無視できないだろう.表面に突出して生活する生物(表在性ベントス)が比較的少ないのは,これら気候と流氷の影響によるものと考えられる.とくに特筆すべき生物として,以下のような生物があげられる.まず,ホウザワイソギンチャクは,かって陸奥湾に多くみられた種であるが,現在では陸奥湾で絶滅した.今回の調査において北海道の厚岸湖で発見され,道東の干潟では健在であることが明らかになった.一方,厚岸湖で発見-23-され厚岸の名前を学名に持つホソイソギンチャクは,今回の調査では厚岸湖や厚岸湾の干潟では発見されなかったが,風蓮湖・野付湾の干潟に多産することが明らかになった.また,厚岸の海岸で報告されたウミカニムシが野付湾干潟の後背植生帯で発見された.現在では厚岸で確認されていない.全国的にもウミカニムシなどのカニムシ類がほとんど見いだされていないのは,干潟の後背植生帯が十分保全されていないことと関係があると思われ,保全対策のあり方の検討が必要である.北海道の干潟の多くが自然度の高い環境を保持していることは特筆に値するが,一方,「重要湿地500」に干潟という項目で選ばれながら,その後あるいは選定前からすでに保全すべき干潟としての価値を失ったものもいくつか見られる.たとえば,厚岸湾干潟は,そのほとんどが選定前に埋め立てや港湾建設によって失われ,ほんのわずかの干潟が残されるのみになっている.もちろんこの干潟は狭い故に保全する必要が無いというわけではないが,「重要湿地500」の干潟として選定する根拠は,薄弱になっているといわねばならない.また,浜中湾・琵琶瀬湾および火散布沼の干潟の大部分はアサリの育成漁場として耕耘されたり覆土をしたりアサリを放流したりと高度の人為的行為を行っており,保全すべき自然の干潟の状態は残っていない.これは厚岸湖の湖口近くの干潟でもまったく同じ状況にあり,かっては良好な塩性湿地・干潟であった場所が現在では自然度ゼロに近い状態にまでなってしまっている.ただし,厚岸湖全体で見ると湖奥や湖の北側などではほとんど人の手が入っていないと思われる自然度の高い広大な干潟がまだかなり残されており,これ以上の自然破壊を阻み環境を保全していく必要が高いと考えられる.温根沼の干潟も自然度は非常に高いが,やはりアサリの漁場としての開発も考えられているようで,注意が必要である.参考文献飯村幸代,2004.底生生物の多様性から見た道東の干潟の機能評価.2003年度北海道大学大学院地球環境科学研究科修士論文,pp.1-27国立環境研究所,2003.干潟等湿地生態系の管理に関する国際共同研究(特別研究)国立環境研究所特別研究報告,SR-51-2003,pp.1-62向井宏,2006.厚岸湾・厚岸湖の生物相北海道大学北方生物圏フィールド科学センター厚岸臨海実験所(未発表)海と渚環境美化推進機構・北海道立釧路水産試験場,2003.藻場・干潟環境保全調査報告書別海町地区周辺地域(北海道-I).-24-青森県沿岸域鈴木孝男太平洋岸に位置する小川原湖湖沼群(鷹架沼と高瀬川),および,陸奥湾の湾奥部に位置する小湊浅所の干潟について,本州最北端に位置する青森県の干潟群としてとりまとめる(岩木川の河口に位置する十三湖については,日本海側に面した海域群として別項で取り扱う).陸奥湾内で干潟が存在するのは,平内町にある小湊浅所とむつ市芦崎の大湊港南西奥部であるが,後者は自衛隊の敷地内にあり,立入りは制限されている.浅所海岸は北側に漁港があり,南岸に沿って汐立川が流れており,中央部分に砂質の干潟が出現する.河口干潟と前浜干潟を合わせ持ったような地形である.一部のヨシ原を除き,干潟の後背地に植生帯はない.また,ハクチョウの飛来地として有名であり,岸辺で餌付けも行われている.ここは,北東北地方において最も良く干潟の原風景を留めている干潟であり,出現総種数35種は,北方の干潟に棲息する種数としては多い方だと思われる.干潟の表面には,ホソウミニナに混じって希少種のウミニナが比較的多く棲息する.また,ヨコヤアナジャコの巣穴が多数見られる.地高が高く礫の多いところに,局所的ではあるが,カワザンショウガイが多数棲息する.東北地方で本種が確認されたのはここと十三湖だけである.多毛類ではコケゴカイが多く棲息しているが,ところによっては,イトメやイトゴカイ類のHeteromastussp.も多く見られる.また,二枚貝ではイソシジミとソトオリガイが多産する.カニ類では,ケフサイソガニが比較的多く見られる他,ヤマトオサガニやアリアケモドキも確認された.また,砂礫底のところにヒモイカリナマコが多く棲息していたが,本種はこれまで三浦半島以南に分布するといわれており(今岡,1995),確認できたのは東北地方ではここだけであった.他に,ハゼ科の希少魚*も出現した.下北半島の付け根の太平洋側には六ヶ所村湖沼群が存在する.北から順に尾駮沼,鷹架沼,市柳沼,田面木沼,小川原湖などであるが,周辺は原子燃料サイクル施設としての整備が進行中であり,自然環境の改変が著しい.このため,現在,ある程度まとまった干潟が出現するのは,鷹架沼がむつ小川原港に注ぐ近辺と,小川原湖と太平洋をつないでいる高瀬川の岸辺沿い
本文标题:海域生物相干潟现状
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