ステレオタイプの「日本人の自然観念」を批判する

ステレオタイプの「日本人の自然観」を批判するよく「日本人は自然との調和、融合を大切にする」と言われるが、本当にそうだろうか。私が日本人の自然観についてとても印象的なのは木造家屋や庭園や日本料理や生花などである。例えば、その独特な庭園風景は草や石から池や木に至るまでその庭全体の構造に工夫をいろいろ凝らしている。日本の庭園はいつも優美と閑寂という雰囲気に満ちている。生花や茶道などもそうだと思われる。日本人は自然との一体感を求めるために、どんな思いを込めてこれらの人工の極致のものを作り出したのだろうか。「日本人は自然に強い愛着を抱いているが、それは抽象的な、観念的な自然でしかない」と北村昌美氏は言った。私もこうした人工を凝らした庭園を見てそう思う。しかし、こうした観念の上での「自然」ではなく、これらの美しいもの基盤となる日本の現実の環境はどうだろうか。日本には今七つの主な公害問題がある。例えば、大気汚染とか水質汚濁とか土壌汚染などだ。経済の高度発展とともに、公害問題はますます深刻になってきた。これはどういうことだろうか。日本人は自然と共生することを追求しているのに、どうしてそんなに深刻な環境問題が引き起こされたのだろうか。水上勉氏はこういう事実を指摘している。「竹藪の海であった京都の西の京では、巨大都市を作るため、根こそぎ地の皮をめくるみたいに、竹を切り殺して、造成にとりかかる」と。これは何故だろう。もしかしたら、頭の中でしか自然と付き合っていないのではないだろうか。「日本人は自然との調和、融合を大切にする」という言い方自体が間違っているのかもしれない。人間一人一人は立場によって、自然と自然保護に対する考えも違っているのだ。時代とともに、社会は前に向かって進んでいる。どうしたら本当に自然と一体になれるだろうか。公害が全部なくなるのは無理だが、今肝心なのは利益のために自然を壊されないで、工場や交通手段などによってもたらされる公害を最小限に抑えればいいと思う。