安部公房「棒」における自己救済

「棒」における自己救済安部公房は日本当代の独特な作家で、実存主義に影響して、たくさんな作品を作った。その中で、「棒」は数回教科書に入選した。普通人として、希望がない時、誰が自分に助け船をだすのか？自分だけだろうと思うが、どうすればいいか。キーワード：自己救済現実評断一、安部公房（1924―93）小説家、劇作家。大正13年3月7日東京・滝野川に生まれる。1948年東京大学医学部卒業。幼少年期を瀋陽で過ごし、そこで敗戦を迎えた。そのときの混乱した異常体験は、『けものたちは故郷をめざす』に描かれている。戦後、花田清輝らの「夜の会」に参加、『近代文学』同人となり本格的な作家活動を始め、『終りし道の標べに』によって実存主義的な作家としてデビューする。やがて思想的にはコミュニズムに接近、シュルレアリスムを取り入れたアバンギャルド芸術を志向し、1951年『赤い繭』で戦後文学賞、『壁―Ｓ・カルマ氏の犯罪』で芥川賞を受賞して、特異な才能をもつ戦後作家として文壇的地位を確立する。62年『砂の女』で飛躍的な作家的成長を遂げ、文壇内外の高い評価を受けた。1960年代以降は、人間の自由をめぐる弁証法的な思考を軸に、共同体への否定の論理をモチーフにした作風が濃厚となる。『他人の顔』、『箱男』、『密会』、戯曲『友達』、『棒になった男』などは、都市を舞台に風刺と幻想に満ちた手法で現代社会の病理を鋭くえぐっている。「棒」は異化の手法で普通人の運命を掲示した。社会の圧力のせいで、人に変形させた。文章に棒になった。そして三人に見つけた。いろいろな話をして、棒に評断をした。「だからこうして、置き去りにするのが、一番の罰なのだ」と結論した。二、救済とは、ある対象にとって、好ましくない状態を改善し、望ましい状態へと変えることを意味する。宗教的な救済は、現世における悲惨な状態の改善が宗教に帰依することで解消または改善されることも意味する。様々な宗教で極めて重要な概念であり、救済を強調する宗教は救済宗教とも呼ばれ、救済宗教」で通常「救済」という場合は、現世の存在のありようそのものが、生及び死を越えた存在領域にあって、何らかの形で決定的に改善されることを表すのが一般である。キリスト教における救済キリスト教神学においては特に「救済論」の中心概念である。キリスト教は典型的な救済宗教で、キリスト教における救済とは、キリストの十字架による贖いの功績に基づいて与えられる恵みにより、信仰による罪の咎と束縛からの解放、そして死後にあって、超越的な存在世界にあって神の恩顧を得、永遠の命に与ることである。永遠のいのちは、時として、生物的ないのちとは種類を異にする、この世にあって持つことのできる霊的ないのちとも解釈できる。ローマ・カトリック教会においては、罪は犯したが償える可能性の残っている者は煉獄に送られるとされる。また、未来において世界が終末を迎えたとき、神が人々を裁くという最後の審判の観念もある。その時混乱の極みにある世界にイエスが救世主として復活し、王座に就くとされる。死者達は墓の中から起き上がり（伝統的に火葬しなかったのはこの時甦る体がないといけない為）、生者と共に裁きを受ける。信仰に忠実だった者は天国へ、罪人は地獄(キリスト教)へ、世界はイエスが再臨する前に一度終わるが、この時人々は救済され、新しい世の始まる希望がある。(千年王国)グノーシス主義における救済グノーシス主義における救済とは、反宇宙的二元論の世界観より明らかなように、悪であり暗黒の偽の神が支配する「この世」を離れ、肉体の束縛を脱し、霊として、永遠の世界（プレーローマ）に帰還することを意味する。グノーシス主義では悪が肉体を形作るものの、善もまた人の体に光の欠片(魂)を埋めたという神話もある。信者は死ぬとき真の神なる父を自覚し、プレーローマへ帰ろうとするが、悪(アルコーン達)の妨げる重囲を突破しなければならない。この過程は全体から見れば、光の欠片の回収でもある。仏教における救済仏教は元々、個々人の輪廻の鎖を断ち切り悟りを得ようとする営みから始まったものなのだが、大乗仏教が興ると自分のみならず他者(衆生)も救済しようという方向性が現れた。また弥勒信仰もあり、これは56億7000万年後に降臨するとされるが、救世主願望の面が強い。事実平安時代には釈迦入滅後末法の世が到来するという不安に戦乱も重なり、終末の後の救済を求める人心を反映してか浄土教が浸透していった。三「棒」の中の救済。辞典の救済は大体神様普通人にあげたものだ。でも、現実で、神様は一体どこにあるんだ？「棒」の救済は自己救済だ。つまり、自分だけ自分の神だ。「落ちるときそうなったのか、そうなっておちたのかは、はっきりしないが、気がつくと私は一本の棒になっていた。～～～お父ちゃんと二度目の叫び声がした。」男が子供によばれたが、子供は父を助けがるか、それども、父に舍てられたから怖いか？どちらも仕方がない、子供もお父さんも自分で自分を助けなければならない。男が棒になったことは子供しか知らない、だが、子供はお父さんを助ける力がない。ほかの人に知らせても誰も信じられ無いだろう。だから、男は自分で何をしなければならない。どすればいいかな？その時、先生一人と学生二人が男を発見した。その三人、男を助けるのに来たのか。いいえ、研究に来た。研究の途中に一人は棒は盲を導くことができるといったら、ほかの一人は「棒が盲を導くだって？僕はそんな意見に賛成することはできません。盲は棒に導かれているわけではなく、棒を利用して、自分で自分を導くのだと思います。」と言った。その「自分で自分を導く」とは「自分で自分を助ける」というだろう。その盲人はその戦後時代の普通人じゃないか。みんなぜんぶ方向を見つけない、何処へ行ったほうがわからない、盲人と同じだ。棒があったも、使い方が知らないでも道を見つけない、だから、盲は自分でじぶんを導くことが分かった。その最後、話は棒にどんな罰をくわえなければならないになった。先生は「だからこうして、置き去りにするのが、一番の罰なのだ。誰かが拾って、生前とまったくおなじように、棒としていろいろに使ってくれることだろう。」と結論した。これはひとにそのときにほんのある普通人たちを思い出した。かれらは能力はなくて、擺設として、非常に地位がない。それは普通人のうんめいだ。棒の運命も普通人の運命だ。文章の最後、男が「お父ちゃん、お父ちゃん、、、、、という叫び声が聞こえた。「私の子供たちのようでもあったし、ちがうようでもあった。」子供たちは父がなければなにもできないが、父はもう棒になったから彼らを助けないになった。だから、だれのこどもでも、こどもまでもじぶんをたすけなければならない。四「棒」は異化の手法で普通人の運命を掲示した。「棒」における救済は神様に依存できないことだ。自分で自分を救済覚悟がなければ、なにも変えない。自分はじぶんの神だ。だから、自分だけ自分を助けれた。