确定拠出年金制度导入成功键

PensionPension0809　日本版401ｋ制度が生まれた背景と目的は大きく３つあります。　　　　運用のリスクを企業が負わない　従来の企業年金制度は、「確定給付型」で、企業が運用の利回りを決定し、それに沿って退職金の資金準備を行うというものでした。運用がうまくいっていれば問題は顕在化しなかったのですが、不況下で企業を救済する低金利政策は、積み立て不足という事態を引き起こしました。　企業が運用の全責任を負う制度ではなく、企業はお金を出し、運用は個人が負うことにすると、企業としては運用リスクを回避することができます。又、平成13年３月期から退職給付会計に関して新会計基準の適用が開始されました。 平成12年当時は、株式市場の低迷等により確定給付型の企業年金を導入している企業の多くが多額の積立不足を抱えており、新会計基準の適用により確定給付型の企業年金には財務上の大きなリスクがあることが明らかになったのです。これに対して、日本版401ｋは、将来の年金額は確定しておらず、企業は毎月の掛金を拠出するだけなので、会計上企業の退職給付債務が発生しないので、財務上のリスクも軽減されます。　このように、日本版401k制度は、企業年金制度のリスク回避策として生まれました。　　　　公的年金制度の限界と自助努力の制度創設　平成62年には、現役世代の1.1人に対して65歳以上の人口は１人になるという予測があります。現在の公的年金による世代間扶養の年金制度だけでは、老後生活を思うように過ごすことは困難です。老後生活に必要な生活費として総務省の調査でも月額28万円近い金額が必要とされ、その80％を公的年金に頼っている現状です。しかし、現役世代と引退世代の人口バランスが超高齢化社会となっていくと、公的年金制度だけではとても豊かな老後生活の資金は得られません。そこで、企業の退職金、個人の年金作り（自助努力）の切り札として日本版401kは作られました。平成22年１月１日より、企業型401kの拠出限度額が引き上げられることになっており、将来的にはマッチング拠出等の改正も予定され、今後ますます、日本版401k制度は利用しやすい形で普及していくものと思われます。　　　　退職金の確保と人材の流動化への統一的な対応策　日本版401kでは、年金資産は個人別に管理されているため、企業経営が思わしくなくなった場合でも、個人の資産は確保されます。　又、日本版401kでは、転職した場合に今までの年金資産を転職先の企業に移換することができます。このことをポータビリティと言います。　このように転職や中途採用に関して、年金資産のポータビリティを確立し、「退職金を次の企業に持ち運べる」という点が、日本版401k制度の目的の一つでもあります。　企業型401ｋの加入者の状況については、以下のようになっており、規約数、加入者数ともに大きく増加しています。企業型の加入者数が300万人を超えたのが平成20年８月末であり、その後、平成21年３月末時点では、311万人となっています。確定給付企業年金については、平成21年３月末時点で企業年金数が5,008件、加入者数は570万人となっています。　発足当初は、導入が進んでいなかった確定拠出年金制度ですが、この数年で飛躍的な伸びを示しています。今後も、導入が進むものと考えられる日本版401kは、いまだ活用していない企業や個人にとって「知っておかなければならない必須知識」となっています。　このシリーズでは、全６回にわたって、日本版401kの制度内容を解説します。確定拠出年金制度（日本版４０１ｋ制度）の概要日本版４０１ｋが生まれた背景日本版４０１ｋ制度導入の現状その１その３その２PensionPension0809　　企業型と個人型　日本版401ｋには、「企業型」と「個人型」とがあります。企業型とは、企業が従業員のために導入してその企業に勤務する60歳未満の厚生年金保険の被保険者が加入対象となる制度です。社長や役員も加入することができるのも特徴の一つです。また、パート、アルバイト、契約社員などは加入対象から除外することもできます。　個人型とは、国民年金基金連合会が実施し、自営業者（国民年金第１号被保険者）や企業年金（確定給付型、日本版401ｋの企業型）に加入していない企業の従業員が任意で加入できる制度です。　　掛金の負担　企業型においては、企業が企業型年金規約に基づき拠出限度額の範囲内で掛金を負担します。加入者自身では掛金を拠出することはできません。個人型においては、加入者が拠出限度額の範囲内で任意に掛金を設定し、第１号加入者は自分で国民年金基金連合会に払い込み、第２号加入者は原則として、企業が給与から天引きして国民年金基金連合会へ払い込みます。【掛金の拠出限度額】　企業型、個人型それぞれの毎月の掛金の拠出限度額は以下のようになっています。　ただし、平成22年１月１日より、拠出限度額が引き上げられる予定です。　　運用は自己責任　日本版401ｋにおいては、将来の年金や一時金の受給額は、毎月拠出される掛金とその運用収益の総額となります。　金融商品の投資運用は、商品の予想利回りが低ければその商品の運用リスクは小さく、逆に予想利回りが高ければ、リスクは大きいと考えられます。いわゆるローリスク／ローリターン、ハイリスク／ハイリターンといわれるものです。　日本版401ｋでは、運営管理機関が提示する運用商品の中から、加入者が自ら選択して運用の指示を行いますので、高利回りを狙ってリスクの大きい商品を選択して運用がうまくいけば高い利回りを得ることができますが、反対に運用がうまくいかなければ将来の年金資産が減少することもあります。日本版401ｋでは加入者自身の責任で運用を行うことが前提ですので、運用がうまくいかなくて年金資産が減少しても原則として企業等からの補償はありません。　　給付の種類と老齢給付金における加入期間と年金の受給開始年齢　日本版401ｋによる給付は原則として以下の３つの給付となります。老齢給付金については、老齢給付金の受給開始年齢前に退職した場合は、その時点で退職金を手にすることができないので、注意が必要です。また、遅くとも70歳までには受給を開始しなければならないことになっています。①老齢給付金　加入者が60歳以降の一定年齢に達したときに給付が行われます。②死亡一時金　加入者が死亡した場合に、加入者の遺族に支給されます。③障害給付金　加入者が高度の身体障害に陥った場合に支給されます。④脱退一時金　上記の①から③までの給付とは別に、一定の条件を満たしている場合には、脱退一時金を請求することが可能です。日本版４０１ｋの概要（１）（４）（2）注１：個人型の掛金と国民年金基金等の掛金を合計した金額が68,000円以下であること第１号加入者：自営業者及び無職等を言います。 国民年金保険の保険料が未納の場合は、掛金の納付はできません。第２号加入者：企業の従業員で厚生年金基金、確定給付企業年金、適格退職年金、日本版401ｋの企業型の対象となっていない者を言います。通算加入者等期間：・企業型年金加入者期間　・企業型年金運用指図者期間　・個人型年金加入者期間　・個人型年金運用指図者期間　であって60歳に達した日の前日が属する月以前の期間について合計した期間のことを言います。（３）PensionPension0809　日本の年金制度の体系は、３階建ての年金制度となっています。　１階部分は全国民に共通で、加入が義務づけられている国民年金制度（基礎年金制度）です。　国民年金の第２号被保険者の２階部分は、民間企業のサラリーマンが対象となっている厚生年金保険制度と公務員等が加入する共済年金制度となっています。　国民年金の第１号被保険者である自営業者等の場合は、１階部分の国民年金制度は強制加入ですが、２階部分として任意に加入できる国民年金基金制度及び確定拠出年金制度（個人型）があります。　１階部分の国民年金制度及び２階部分の厚生年金制度、共済年金制度は公的年金制度ですが、これに対して３階部分が、企業年金制度となっており、国が運営・管理する公的年金を補う制度として位置付けられています。　企業に導入される確定拠出年金制度も企業年金制度として位置付けられています。　公務員等の共済年金制度の場合、職域加算相当部分が３階部分に相当します。更に、私立学校教職員については企業型の確定拠出年金を導入することができます。（１）企業型年金の加入対象者　厚生年金保険の被保険者である満60歳未満の従業員は、原則として全員が企業型年金の加入対象者となります。　ただし、以下の「一定の資格」を定めて条件に合致する者のみを加入者とすることも可能です。　第１回は確定拠出年金の「企業型」、「個人型」に共通の項目について説明いたしましたが、第２回は、主に「企業型」の確定拠出年金の仕組みについて説明いたします。　企業型の確定拠出年金制度の設計上、重要となる項目として、加入者の範囲や掛金の決定方法等があります。確定拠出年金“企業型”の仕組み概要１．公的年金制度と確定拠出年金制度との関係２．確定拠出年金〜企業型の仕組み〜①一定の職種に属する従業員のみを加入者とすることができます。　一定の職種とは、例えば、研究職、営業職、事務職等を言いますが、労働協約や就業規則等でこれらの従業員の給与や退職金等の労働条件が他の従業員の労働条件とは別に規定されていることが必要となります。②勤続期間のうち、「一定の勤続期間以上（または未満）」の従業員のみを加入者とすることができます。　例えば、勤続20年未満のものを加入対象とするとか、勤続６年以上のものを加入対象とするなどです。比較的短期間での退職者が多く、PensionPension0809（２）企業型年金の掛金の決定方法　企業の掛金の算定方法は以下の３つの方法のうち、いずれかによるものとされています。（３）税制優遇制度（４）ポータビリティ　確定拠出年金では、個人毎に資産が管理されていますので、離職・転職した場合にそれまでの年金資産を移換先に移して制度を継続していくことが可能です。この離職・転職に際しての資産の移換をポータビリティと言い、確定拠出年金制度が持つ大きな特徴、魅力となっています。＜確定拠出年金制度におけるポータビリティの仕組み＞注１：①及び②においては、加入者とならない従業員については、企業年金制度の適用者であることが必要。注２：③及び④においては、加入者とならない従業員については、確定給付企業年金（④の場合に限る）または退職金制度が適用されていること、その制度において確定拠出年金への掛金の拠出に代わる相当な措置が講じられ、不当に差別的な取り扱いがなされないように配慮することが必要。（※１）平成22年１月から25,500円に上限額が引き上げられます。（※２）平成22年１月から51,000円に上限額が引き上げられます。一定期間経過後は長期間勤続するというような企業にとっては、一定の勤続期間以上の者を加入対象とするのも一つの考え方です。③合理的な理由がある場合には、「一定の年齢未満」の従業員のみを加入者とすることができます。　一定の年齢以上の者のみを加入者とすることはできませんが、制度導入時に限り、50歳以上の一定の年齢以上の者を加入対象者としないことができます。制度開始時に50歳以上のものは、運用期間が短く60歳で定年退職してもその時点では、通算加入者等期間が10年を満たしていないため給付を受けることができないためとされています。④従業員のうち、「加入者となることを希望した者」のみを加入者とすることができます。　確定拠出年金制度を導入して、拠出を希望するかどうかを加入対象者が選ぶことができる「選択制」を採用することもできます。希望した者のみ拠出が行われ、希望しない者については、拠出金相当額が給与に上乗せして支給されるというものです。①定額方式加入者全員に対して同額の掛金とす