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1○和歌①和歌…中国の歌を表す「漢詩」に対する言葉で、「大和の歌」という意味である。②主な形式は四つ…和歌の主な形式(歌体)には、次の四つがある。長歌五・七・五・七…続き、最後は五・七・七で終わる形式。短歌五・七・五・七・七の五句三十一音の形式。旋頭歌五・七・七・五・七・七の六句三十八音の形式。仏足石歌体の歌五・七・五・七・七・・七の六句三十八音の形式。古典和歌の技法枕詞特定の言葉の上につけて調子を整える言葉。(普通五音。)ひさかたの光のどけき春の日にしづ心なく花の散るらむ。(古今集・紀友則)序詞ある言葉を導くための六音以上の言葉。あしひきの山鳥の尾のしだり尾長々し夜をひとりかも寝む(拾遺集・柿本人麻呂)掛詞ある音に二つの意味をもたせるもの。(「おき」を「置き」と「起き」に掛ける)ほととぎす夢かうつつか朝露のおきて別れし暁の声(古今集・大江千里)縁語ある言葉と関係の深い言葉を用いる技法。雪のうちに春は来にけりうぐひすの氷れる涙今や解くらむ(古今集・二条の后)○古典俳句①古典俳句とは…江戸時代の俳諧の発句(初めの五七五の句)のことである。明治時代の正岡子規から始まる近代俳句と区別してこう呼ぶ。(「俳句」の名称は子規以降用いられるようになった)②俳諧の歴史…平安末期から流行した連歌の形式の一つとして、室町時代にこっけい味を中心とした「俳諧之連歌」が盛んにつくられるようになった。江戸時代になると俳諧の発句が独立していき、松尾芭蕉によって芸術性が高められた。③江戸時代の三大俳人松尾芭蕉江戸前期自然の中に深く入り込み、その美を追求。静かで深い味わいをもつ、主観的、内面的な句を作った。古池や蛙飛び込む水の音芭蕉与謝蕪村江戸中期画家でもあった蕪村は、絵画的な構成の句、浪漫的、古典趣味の句を作った。山は暮て野は黄昏の薄かな蕪村小林一茶江戸後期生活に根ざした感情を率直にうたい、現実的、生活的な句を作った。雪とけて村いっぱいの子供かな一茶○季節感を表現した十七音の詩①三句十七音の短詩…俳句は、五七五の三句十七音からなり、自然や生活を日本人の鋭い季節感でとらえた詩である。秋深き隣は何をする人ぞ芭蕉②季語を一ついれる…俳句は、季語を一句に一つよみこむのが原則である。荒海や佐渡に横たふ天の川(秋の季語)芭蕉③切れ字を用いる…切れ字は意味の切れ目を表す言葉で、「や・かな・けり」などが代表的。雲雀より空にやすたふ峠かな芭蕉○詩の形式と技法特徴と分類①詩とは、短い言葉の中に作者の大きな感動を表現した文学である。②短い言葉で感動を表現するには、言葉を選び、言葉の美を追求し、創造する。そのために、次のような表現効果を工夫する。映像(イメージ)を鮮明にする表現火のように燃えているつつじの花2リズム(韻律)感を添える表現小さな百合が泣く大きな大きな声で泣く③数行がひとかたまりになった。「連」が集まり、全体を構成する。○文語で書かれ、音数が一定の詩を「文語定型詩」という。明治時代の詩は多くがこの形式で書かれた。初恋島崎藤村まだあげ初めし前髪の林檎のもとに見えしとき前にさしたる花櫛の花ある君と想ひけり分類用語による分類文語詩口語詩形式による分類定型詩自由詩散文詩内容による分類抒情詩叙景詩叙事詩練習次の詩を読んで、後の問いに答えなさい。足どり竹中郁見しらぬ人の会釈をうけてこちらも丁重に会釈をかえした二人のあいだをここちよい風がふいた二人は正反対の方向へあるいていった地球を一廻りしてまた出会うつもりの足どりだった質問及び解答欄(1)いくつの連からできているか。(連)(2)用語上で分類すると何詩か。(詩)(3)形式上で分類すると何詩か。(詩)(4)内容上で分類すると何詩か。(詩)表現技法例効果直喩(明喩)山のように大きな波が打ち寄せる。たとえられたものの印象をはっきりさせ、生き生きとさせる。隠喩(暗喩)木はしずかなほのお3擬人法空が泣いている大粒の雨が降る人に見立てることによって人の心があるように表現することができる。そのことで、場面を印象的にしたり、作者の心情を重ね合わせて強調したりといった効果が生まれる。体言(名詞)止めみつみつとこめる霧。印象を強め、言外にこめられた趣を感じさせる。倒置法舟が散歩する口笛を吹きながら言葉の勢いや意味の流れを強め、印象を深める。対句法月に向かってそれは抛れず浪に向かってそれは抛れず内容に厚みやふくらみを加え、リズムを生む反復法夕立ちだ夕立ちだリズム感を出し、印象を強める。省略法身体をこわばらせて――。余韻や奥深い情感をもたせる。押韻法いつも通った道いまも忘れない町一定の規則正しいリズムを生む。漸層法雨西脇順三郎南風は柔かい女神をもたらした青銅をぬらした噴水をぬらしたツバメの羽と黄金の毛をぬらした潮をぬらし砂をぬらし魚をぬらした静かに寺院と風呂場と劇場をぬらしたこの静かな柔かい女神の行列が私の舌をぬらした印象や感動を盛り上げていく。詩の鑑賞詩の鑑賞のしかたルール①情景を考える…作者の位置に注意し、季節・場所・時刻などの情景を想像する。ルール②作者の心情を考える…比喩など表現にこめられた作者の気持ちを考える。ルール③主題をつかむ…作者が何に感動しているか、どういうことを訴えようとしているかを、情景や心情をもとに考える。実践テクニック(1)心情のとらえ方…次の二点に注意してとらえる。①情景表現に心情が反映されていることがある。②表現技法の意図を探り、手がかりとする。(2)題名に注目する…詩の主題は、題名が手がかりになる。題名が表わしているものをとらえよう。練習木琴金井直(かないちょく)妹よ今夜は雨が降っていてお前の木琴がきけないお前はいつも大事に木琴をかかえて学校のへ通っていたね4暗い家の中でもお前は木琴といっしょにうたっていたねそしてよくこう言ったね「早く街に赤や青や黄色の電灯がつくといいな」あんなにいやがっていた戦争がお前と木琴を焼いてしまった妹よお前が地上で木琴を鳴らさなくなり星の中で鳴らし始めてからまもなく街は明るくなったのだよ私のほかに誰も知らないけれど妹よ今夜は雨が降っていてお前の木琴がきけない短歌の形式と技法①五句三十一音の定型…五・七・五・七・七の五句三十一音の定型詩。次のような基本形式を持つ。短歌は一首、二首と数える。初句第二句第三句草わかば色鉛筆の赤き粉の上の句(かみのく)第四句第五句・結句散るがいとしく寝て削るなり下の句(しものく)②字余り・字足らず…三十一音より多いものが字余り、少ないものが字足らず。(リズムに独特の変化をもたせる)6音=字余り7音5音7音7音夕焼け空焦げきはまれる下にしてこほらんとする湖うみの静けさ島木しまき赤彦あかひこ③句切れ…句切れは、一首の途中で、文としての意味のつながりが切れる部分。初句切れ5/7577七五調『古今集』『新古今集』…優美でなめらかなリズムを生む。二句切れ57/577五七調『万葉集』…力強く重々しいリズムを生む。三句切れ575/77七五調『古今集』『新古今集』…優美でなめらかなリズムを生む。四句切れ5757/7五七調『万葉集』…力強く重々しいリズムを生む。○句切れの見分け方…文に直して「句点」のつくところが句切れ。二句切れ5夏の風やまよりきたり・三百の牧の若馬耳吹かれけり与謝野晶子夏の風が山から吹いてきた。その風に、三百頭はいるだろう広い牧場の若馬たちの耳がそよぐようだ。主な技法…つぎのような技法を用いることが多い。体言止め結句や句切れを体言(名詞・代名詞)で止め、印象を強め余情・余韻を残す。ふるさとの潮の遠音のわが胸にひびくをおぼゆ初夏の雲与謝野晶子倒置法主・述の関係、修飾・被修飾の関係などの語順を、ふつうとは逆にして強調。読み上ぐる平和宣言に拍手して今日も別れぬ天のちまたに近藤芳美反復法語句の繰り返しでその部分を強調。みちのくの母の命を一目見ん一目見んとぞただにいそげる斉藤茂吉比喩法あるものにたとえて印象を強める。砂原と空と寄り合う九十九里の磯行く人ら蟻のごとしも伊藤左千夫短歌の鑑賞ルール1全体の意味をつかむ…歌を何度読み、歌のリズムや一首全体の意味をおおまかにつかむ。ルール2情景を想像する…うたわれている風景や出来事などを心に思い描く。ルール3作者の心情をとらえる…作者は何に感動し、どういう気持ちかを考える。実戦テクニック1「かな・けり」に着目…感動や詠嘆を表わす言葉「かな・けり」に着目しお、歌の中心になっている事柄をとらえる。2句切れに着目…短歌の感動の中心は、区切れの部分にあることが多い。練習Aやはらかに柳あをめる北上の岸辺目に見ゆなけとごとくに石川啄木通釈:やわらかそうに柳が芽ぶき、青くなっている、北上川の岸辺の風景が目に浮かんでくる。まるで、わたしに泣けとでも言うように。B瓶かめにさす藤の花ぶさみじかければたたみの上にとどかざりけり正岡子規通釈:ふと見ると、机の上の花瓶にさした藤の花が紫の房をたれている。その花房はなぶさが短いので、もうちょっとというところで、畳の上に届かないことだ。Cあけて待つ子の口のなかやはらかし粥運ぶわが匙に触れつつ通釈:口をあけて粥を入れてくれるのを待っているわが子。その口の中の、なんとやわらかいことだろう。さじを口に触れるたびに、そう感じることだ。俳句の形式と技法○俳句の形式①世界で最も短い詩…俳句は、五・七・五の十七音の中に作者の感動を詠みこんだ、世界で最も短い定型詩。次のような基本形式を持つ。いなびかり北よりすれば北を見る橋本多佳子6上五(かみご)中七(なかしち)下五(しもご)②自由律俳句…五七五の定型にこだわらず、自由な音数で詠まれた句を自由律俳句という。季語がない=無季分け入っても分け入っても青い山種田山頭火音数は十五音=自由律○俳句の技法①季語…季語とは季節を表す言葉で、季題ともいう。一句に一つ読み込むのが原則。散るさくら海あをければ海へ散る高屋窓秋(たかやそうしゅう)季語=春②季語の種類…季語は、自然現象や動植物、行事、生活など広い範囲にわたっている。③切れ字…切れ字は詠嘆や強調を示す言葉。切れ字(代表的なもの)助詞:や・よ・ぞ・かな・か助動詞:けり・なり・たりたんぽぽや日はいつまでも大空に中村汀女(なかむらていじょ)切れ字=「ああたんぽぽ」と詠嘆をこめている。切れ字は詠嘆や強調を示す言葉であり、一句の感動の中心がこめられている。そこで、作者が何に感動して句を詠んだかを探るには、切れ字を含む言葉に注目するとよい。炎天の遠き帆やわがこころの帆山口誓子(やまぐちせいし)この句では、感動の中心は「遠き帆や」にある。季語は「炎天」で、季節は夏。「ぎらぎらと照りつける夏の太陽のもとで遠くに舟の帆が見える。その白い帆は、自分自身の心の中の希望や憧れのように輝いている。」というのが句の意味で、作者は「遠くに見える帆」に感動して句を詠んでいるのである。その感動が、切れ字の「や」にこめられている。④句切れ…句切れとは、一句の途中で文としての意味の流れが切れるところ。途中に切れ字がある校塔に鳩多き日や/卒業す中村草田男(なかむらくさたお)二句切れ途中に名詞止めがある天の川/鷹は飼はれて眠りをり加藤楸邨(かとうしゅうそん)初句切れ途中に終止形がある秋空を二つに断てり//椎大樹高浜虚子(たかはまきょし)二句切れ
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