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平成15年度湧水環境調査報告(水循環調査)名古屋大学工学研究科鷲見哲也1.はじめに大槌町は,大槌川・小槌川という小さな流域にもかかわらず,豊かな湧水環境に恵まれた町であり,それは地域の財産として認識されるべきものである.イトヨの生息環境である湧水環境の変化をきっかけにしながらも,改めて豊かな水循環を認識する契機となっている.本調査(地下水・湧水環境調査)は,水文学の専門の立場からこの豊かな水循環・水環境の仕組みを機構および量的状況を把握することを中期的な目的として見ながら,湧水環境に変化を与える要因について抽出し,報告することを目的としている.本報告では,(1)調査結果概要,(2)昨年度までの基本情報・仮説の概略のまとめ,(2)本年度調査内容・収集資料に分けて示す.本年度は,本町の水循環の様子を把握するための本格的調査を始めたところであり情報収集が主な作業となった.次年度以降,量的なデータの収集に重心を置く予定である.2.本年度調査の結果の概要本年度の調査は主に以下の2つが行われた:○資料調査および一部聞き取り調査.○水質計測(2回,2003年6月8日,2004年1月17日)繰り返しになるが,調査目的の主眼は以下の2つである.○源水地区の地下水環境を明らかにする.またその変化の経緯に与えた要因を考察する.○町全体の地下水を中心とする水循環の構造を明らかにする.中期的には循環の量的な様子を計る.本年度は,前者に重点を置きながらも,資料収集はできるだけ全体のものをカバーするものとなるよう努めている.結論から述べると,本年度調査から,すべてが明らかになったわけではない.特に,水の量的な情報はまだ不足しており,すべてを捉えたとは言いがたい.しかし水循環のメカニズムに関する定性的な情報について,本年度は概要として,以下の内容を得ることができた.2.1源水地区について○河床掘削による地下水位低下への影響この40年間で源水地区を取り巻く河川の様子が激変した.源水川下流部断面確保,大ヶ口川開削,大槌川本川河床掘削と,いずれも治水目的の改修が行われてきており,地域の治水安全度が大幅に向上したが,河床掘削は地域の浅層地下水の水位低下をもたらす要因になったと考えられる.1m以上の河床掘削は,明らかに地域の浅い地下水を引き下げる効果があり,源水地区の湧水環境を支えるために必要な高い地下水位を保てなくなった要因に挙げられる.○源水・屋敷・大ヶ口地区での地層構造市街地において,地下水は2層(浅井戸と深井戸,不圧地下水と被圧地下水)があり,それに対応して2つの砂礫層の間にシルト・粘土層があることも,わかっている.源水地区において,少なくとも下流部,つまり孵化場においても,同様の層構造および地下水構造があることがわかった.そこに,山地からの水が横浸透していることはほぼ間違いないと考えられる.○源水・屋敷・大ヶ口地区での地下水利用大槌川右岸側のこの地区は三日月状の堆積地であるが,上記から,2層の地下水層であることがわかっている.現在は,そのユーザは主に3者に分けられる.(1)大槌町水道事業所・・・浅井戸・大槌川伏流水(160万m3/年=0.05m3/秒程度)(2)地区住民による揚水・・・浅井戸をくみ上げて利用(3)漁協孵化場・・・浅井戸・伏流水および深井戸(深井戸のみで15m3/分=0.25m3/秒の能力,使用量不明)町内の水道事業の水源は,大ヶ口の1箇所である.しかし,河畔の浅井戸によるものであり,地下水をまた,地区住民による浅井戸・深井戸の状況や,それらの揚水量は不明であるが,水道事業との非契約率は30%弱と高く,地下水の使用量は相当なものとなる.その特徴としては,(1)浅井戸・伏流水のユーザの大半は町民である.(2)この地区では孵化場だけが深井戸を利用している.(3)この地区の水利用量の増加が,地下水低下・湧水の不活性化を招いた要因としては十分に挙げられる.○源水・屋敷・大ヶ口地区での湧水の変化40年前からの当該地区の状況変化に関する聞き取り調査から,次のような変化が起こっているようである.(1)降雨後の沢筋からの出水特性が大幅に変化し,決まって水が出るところから出なくなっている.特に少雨傾向にはなっていないことから,これは,透水性基岩の,傾斜した風化粘板岩層の内部において,普段の地下水位が相当に低下していることを意味している.(2)山際に沿うように,大ヶ口川上流部から熊野山神社の近くを通り,源水川上流部へと,湧き水のある池が連なるようにあった.現在では,池は一部で残っているものの,明瞭な湧水を見つけるのは難しい.残っているものも水位が,相当に低くなっている(水深1m以上のところがあり,泳げたとのこと).(3)孵化場の揚水ポンプ増設・稼動による,浅井戸の水位低下は明瞭にみられたとのこと.(これにともない周辺地区での住宅において井戸の増し掘りが行われた.)これは,この地区では,現在利用されている量では,元の豊かな湧水環境を維持できないことを表している.明らかでない情報については,次の通りである.(1)地区内の各家庭で利用している自家井戸の揚水量,および孵化場の揚水量(井戸別)あるいはそれらの年間変化・・・・・・・・・アンケート・聞き取り調査・資料収集(2)不圧地下水(浅井戸)水位,源水川・大ヶ口川・大槌川河川水位との上下関係(これによりどれからどれに水が動いているかがわかる.)・・・資料比較・および測量調査○水質から見た源水川の水質から得られた知見着目している源水川湧水は,昔に比べて非常に弱いものになっているのは間違いないが,現在も湧きつづけている.その水質から,どこからやってきた水なのかについて,調べるために水質を計測した.考えられた源は,不圧地下水(浅井戸で利用している水),被圧地下水(深井戸で利用している水)および,城山の山体である風化粘土板岩からの浸出水,の3つである.詳細は後述するとして,以下のように現段階では結論する.(1)源水川の水は,地下水と山からの浸出水(沢水に近い水)の混合によってできている.(2)孵化場給餌場内湧水は被圧地下水(深井戸)である可能性が高い.(3)不圧地下水は,上記の様々な利用状況から,源水川上流部(孵化場内)へ出ている量は少ないと考えられる.2.2市街地の地下水環境について○被圧地下水位について大槌町市街地での地下水,とくに自噴水井からの地下水は豊富であり,過去の調査では一つの井戸で多くて6~67リットル毎秒とされた.また,海沿いであるにもかかわらず,干満によっても塩水流入はほとんどない.また,湾内の一部も湧水が起こっているところがあるとの事を聞いている.これらを地下水理学の側面から見ると,深さ20m~25m付近にある,被圧地下水帯水層での圧力が大変高いことが予想されるが,それがいくらなのかは不明であった.小鎚川高潮水門工事施工に備える地下水水位測定業務委託の報告書(県釜石地方振興局)を入手し,その様子が明らかになった.(1)小槌川から,平均水位(圧力水頭)は,沿岸で標高1.3m,150mほど内陸側でも1.8mとなっていることがわかった.海水面より大幅に高いこの水圧が,地表高をも超えており,豊かな自噴水をもたらしていることが明らかになった.(2)その地下水位は,降雨と,海水位(河川水位)の潮汐変動によって変化する.日平均水位の降雨による変化は60cm程度あり,これは城山供給側水位が上昇することが,主要な原因であると考えられる.海水位変動による水位変動は,圧縮されて最大50cm程度であった.その被圧帯水層の場に関する情報としては,以下の状況がある.(3)2004年1月の調査時に,水産工場等の近くの自噴水が全くない地域があり,高い圧力環境でも,大量の水利用は,周辺の地下水環境に影響を与えていることは明らかであった.今後,水理解析によって城山山体側から供給される高い圧力がどの程度か,逆に述べれば山体内山際付近での水位が推定できる.また,自噴水井の流量を測定すれば,その層の透水性に関する情報を得られるので,来年度以降試みたい.○自噴水の水質について市街地自噴水の水質については別添のとおりであるが,主要イオン,pH,EC,水温について調査・分析を行ったが,1964年水質調査報告時から大きな変化はなく,そのほかの成分については調査を行っていないが,良好な水質はほぼ維持されているものと考えられる.一部,異なった水質のものがある.海に近いところであり,海水の影響の履歴を受けた事があるものと考えられるが,詳細は不明である.次章では,昨年度までに把握された状況と,仮説の内容について整理して示し,次々章以降において本年度の調査内容を示すこととする.3.これまでの情報・仮説とそれらの整理3.1自噴井の分布大槌町の自噴井は,図-1の範囲に分布しており,漁業関係や海産物加工等の工場による利用のほか,多くの一般家庭が自噴井を持って通常の水資源として広く使われている.自噴井は,図からわかるように,山際から50~200m程度離れた地域にあるのが特徴である.大槌湾小鎚川大槌川N大槌自噴井帯源水城山寺野屋敷チャート粘板岩図-1大槌町中心部付近の地形と大槌自噴井帯図-2地質図(白は沖積層=砂礫層粘土層の平地)(2.5万分の1地形図「大槌」及び参考文献2)に基づく)(地質図幅「大槌」より)3.2大槌町の地層と地下水について図-2は,本町の地質分布である.大槌町は,その周辺の山地岩盤は古生層(釜石層,二畳紀の堆積岩,チャートまたは粘板岩)からなり,山合いの地形に,大槌川と小鎚川とその支川がこれらの岩を削り,両河川と河口付近に堆積を繰り返して作った平地の上に人間が住んでいる1).この平地は,沈降した谷地形の岩盤の部分と,海側に堆積してできており,町は海側の平地上にある.この堆積部の海抜マイナス25-30m付近2)に礫層があり(図-3),この層が被圧地下水となっている.(この層は海面水位が低い時期に川が運んだり山が崩れたりして堆積した粗い土砂で形成し,その上下の層は粘土層で海面の水位が高い時期に海底で形成された.)大槌町の人が使っている地下水は,このいわゆる深井戸が大半で,この礫層まで掘って,自噴するものを利用している.この礫層は,山の近くの地下は埋まった山の岩盤にあたり,深井戸は掘れず,不圧地下水(浅井戸)のみ利用可能である.図-3大槌自噴帯付近の主要地点のボーリング柱状図(参考文献2))3.3地下水の利用とその意義大槌町の地下水,特に自噴水(被圧地下水・深井戸)の大きな特徴は,水質・水温ともに安定し,その量が豊富であったことである.水質・水温の安定は,深井戸で地表の条件の変化を受けにくいからである.昭和34年の後藤氏の3回の調査によると深井戸の水温は場所による違いは最大1.5度しかなく,年間の変動も殆どない.2002年9月27日の筆者の調査でも6箇所の測定で10.3~11度の範囲に収まった.他の項目の計測結果は湧水について電気伝導度:7.17-7.79µS/m,pH:6.48-6.68であり,S34年調査と殆ど変わっていない.成分については,後藤氏の調査において幾つかのイオン成分について測定されているが,その変化があったかどうかは今のところわからない.しかし溶存物質量は少なく,優れた水質であることは明らかであった.一方,量について考えると,昭和34年時点では,被圧地下水の自噴水量と揚水量の合計は日約1万m3と推定されていたが,現在の量は当時より相当に増加していると見込まれよう.年降水量と2河川平水流量および被圧地下水利用量との比較を表-1に示す.被圧水湧水・揚水量は全体に比べると小さな割合であるが,毎秒数百リットルという量は,恵まれた量であるといえる.しかしその被圧帯水層への供給量は無限ではなく,大きな事業所等での大量の汲み上げはその周辺での深井戸の水圧を低下させ,自然な湧水量を減らしたり,地表まで上がらなかったりすることは起こり得るし,地下水
本文标题:涌水环境调査报告(水循环调査)
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